記念すべき第一回は大胆にもあの名作について語ってみたいと思います。
この間、セイクラブでCJしている時に、リクエストにお応えしてQUEENSRYCHEの名作「OPERATION:MINDCRIME」から、クライマックスのSWEET SISTER MARYを放送したのですが、MCのつたなさ、時間の制約で、80年代メタル未体験のリスナーに本作品の魅力がきちんと伝わらなかったのでは?と感じました。俺のメタル人生の青春はQUEENSRYCHEとともにあったといっても過言ではないので、きちんとした形で解説したくなった次第です。
以下の文章はセイクラブで投稿したもののコピーで、一般のメタラーさんには「そんなこといちいちお前に解説されんでも。」といわれかねない内容ですが、メタラーの裾野を広げるために書いたものだと好意的に捉えていただければと思います。長文になりますが、最後までご覧いただければ幸いです。
「OPERATION:MINDCRIME」とは
へヴィメタルの歴史上に燦然と輝く名盤。コンセプトアルバム(ストーリー性のある、ドラマ仕立てののアルバム)の最高峰。1988年作。本作に伴うツアーではアルバム1枚丸ごと再現して話題となる。俺もこの時の大阪公演に行った時の感動は今でも忘れられません。
登場人物:ニッキ・・・・・・ヘロイン中毒の主人公
メアリー・・・・・元売春婦で、現在はウィリアム神父に助けられ修道女(シスター)に
ウィリアム神父・・夜の街からメアリーを救いだすが・・・
Dr.X・・・・・・・ニッキを洗脳し、暗殺マシーンに仕立て上げた悪の首領
それでは各収録曲の概要を順にご紹介します
1.I REMEMBER NOW
「デイヴィス先生、お電話です。」(←キーワード)
病室で横たわるニッキのシーン。
「消灯から10分も過ぎてるのにまだ起きてるの?お前には注射が必要なようね。・・・これでよし、と。とっとと寝な!このクソ野郎!!」
と看護婦の台詞。ここでニッキが「思い出した(I REMEMBER NOW)。奴らが俺に何を命令して、何が起こったのかが。」と言う。つまり、この曲(正確には曲ではなく、台詞のみ)はこれから起こる物語のあと、病院に収容されたニッキの様子であることがわかる。(2曲目以降は過去の回想シーンということです)
2.ANARCHY−X(インストゥルメンタル)
3.REVOLUTION CALLING
ニッキがアメリカの現状を嘆いている曲。
「権力者は不正を働くし、メディアはうそばかり言う。世の中詐欺師ばかりで誰も信用できない。俺の手で世の中を変えてみせる!革命の呼び声(REVOLUTION CALLING)が聞こえる!」そんなことを考えているニッキは皆を救済してくれる男だというDr.Xの噂を耳にする・・・
4.OPERATION:MINDCRIME
5.SPEAK
「お前の人生を良くしてやろう。注射(ヘロイン)も打ってやる。」
「さあ、これでお前は私の言うことには逆らえないぞ。」
Dr.Xに洗脳され、犯罪に手を染めていくニッキ・・・
6.SPREADING THE DISEASE
ここでこの物語のもう一人の重要人物、メアリーの登場。
彼女は16歳で家を飛び出し売春婦に。ウィリアム神父は夜の街から彼女を救い出すが、週に1度、祭壇の上で「生贄」と称して彼女を抱いていた・・・
曲名のSPREADING THE DISEASEは、ニッキが不満を抱いているような社会的な問題の蔓延と、体を売ることによる性病の蔓延のダブルミーニング。
7.THE MISSION
洗脳されてDr.Xの意のままに操られているニッキ。罪の意識を洗い流してくれるシスターメアリーによる祈りが心の拠り所になっていく。メアリーは組織の連絡係で、かつ心と体で組織の男たちを慰める役割を果たしている・・・(ニッキと体の関係はないと思われる)
ニッキは「俺たちの任務(THE MISSION)が世界を変える。地下組織が表に出てこの世界を救うんだ!」と固く信じて疑わない。
8.SUITE
SISTER
MARY
本作品のクライマックス。10分41秒の大作。ニッキ役のVo.ジェフ・テイトとメアリー役のパメラ・ムーアとの掛け合いに悶絶必至。
このアルバム発表後のツアーではこの曲の時のみシスター姿のパメラ・ムーアが参加。もちろん、日本にも来ました。
(曲のオープニングの台詞:車のウインドウが下がる音の後、Dr.Xの声)
「メアリーを殺せ。」
「(ニッキの声)メアリーを殺すのか!?」
「(Dr.Xの声)彼女は危険だ。神父も殺すんだ。」
数々の「任務」を遂行してきたニッキに、遂に「メアリー殺害」の指令が・・・
雨が降り始めた午後10時、ニッキはメアリーと会うため聖堂に向かう。
「(メアリーの声)雨の中どうしたの?さあ、入って。」
ようやく組織にだまされていたことに気づいたニッキは、組織からメアリー殺害のために派遣されたことをメアリーに打ち明け、2人で逃げることを提案する。それに対してメアリーは「私を撃ちなさい」と諭す。逆に、メアリーが組織から受けた恥辱を打ち明けられ、怒りと復讐に燃えるニッキは、二人で逃げることを決心する。(いつの間に?という感じなのだが、この時点で、すでにニッキは神父を殺している)
9.THE NEEDLE LIES
THE NEEDLE LIESとは、注射針はうそつき=ヘロインに逃げてはいけない、という意味。
ヘロイン中毒のニッキは必ず組織に戻ってくる、と読むDr.X。ニッキも欲しくてたまらないのだが、禁断症状にのた打ち回りながら、自分のため、そしてメアリーのために必死に耐える。
10.ELECTRIC REQUIEM
「誰もいないのか?メアリー!」
「死んでしまってさえもお前は悲しそうに見える」
「俺をおいていかないでくれ!」
「俺を残したままいくなんて・・・」
「お前と同じ思いがしたい・・・」
「さあ、電気を流してくれ」
以上がこの曲の全ての歌詞。1分22秒の曲。
Dr.Xの魔の手を逃れることはできず、メアリーは組織に殺されてしまう・・・自暴自棄になるニッキだが、この後、組織はさらに彼を苦しめる。
11.BREAKING THE SILENCE
逃げとおせるものならやってみな、と組織に挑発されるが、無気力にあてどなく町を彷徨うばかりのニッキ。メアリーとの思い出に浸り、夜の静寂を打ち破って(BREAKING THE SILENCE)叫び声をあげる。そして、組織の謀略で、なんとニッキは、メアリー殺害の容疑をかけられることに。
12.I DON'T BELIEVE IN LOVE
逮捕されたニッキ。メアリーの存在に生きることの全ての意味を見出していたニッキは抜け殻同然だった。もはや彼には愛なんか信じない(I DON'T BELIEVE IN LOVE)と言うしかなかった・・・
13.MY EMPTY ROOM
この曲はメアリーとの思い出や、メアリー殺害現場の回想シーン。
14.EYES OF A STRANGER
「デイヴィス先生、お電話です。」(←キーワード)
病室で横たわるニッキのシーン。過去の出来事を思い出しては悪夢にうなされている様子を歌う。曲の終盤で、各曲のサビの部分が早送りで流れる。数秒の静寂のあと、「I REMEMBER NOW」と一言。物語は最初(一曲目)に戻る。
そう、この曲と一曲目はリンクしていたのです!!
いかがですか?本作品の概要はお解りいただけましたでしょうか。あらすじは途中までしか書かずに「続きはお買い求めの上、ご確認ください」とすべきか、とも思ったのですが、全部書いちゃいました。
昔、QUEENSRYCHEを心から愛した1ファンとして、この物語をどのように音で表現しているのか、興味の湧いた方が一人でもいることを願ってやみません。
参考:クイーンズライチ詩集 シンコーミュージック刊
後日談
セイクラブでこの書き込みをした後、「一度そのアルバムを聴いてみたい」という問い合わせがあり、ダイジェスト版OPERATION:MINDCRIMEを放送しました。その後、このアルバムを購入した人が数人いたようで、うれしかったですね。
これも生粋のメタラーさんならご存知の話かと思いますが、上で紹介したOPERATION:MINDCRIMEの主人公の名前がニッキ、そしてヘロイン中毒・・・この設定に怒ったのが、1公演9500円という破格の金額設定で集金意欲旺盛なところを見せ付けてくれた、今年の11月に来日が予定されているMOTREY CRUE のニッキ・シックスでした。そらそうやわな。誰が見ても明らかな設定やもん。
上で紹介したとおり、OPERATION:MINDCRIMEは
「デイヴィス先生、お電話です。(Dr.Davis telephone please)」
という台詞で始まるわけですが、1989年発売のMOTREY CRUEの超名作アルバム「Dr.FEELGOOD」1曲目の47秒のイントロ「T.N.T.(Terror 'N Tinseltown)」の21秒ぐらいのところで、OPERATION:MINDCRIMEのDr.Davis telephone pleaseの台詞をそのままパクってます。興味のある人は耳を凝らして聴いてみてください。
無断でパクったことで、少しはニッキ・シックスの気も晴れたのかな?
QUEENSRYCHEと書いてクイーンズライチと読むのか、はたまたクイーンズライクと読むのか・・・これはファンにとって永遠のテーマですね(←大嘘)
この前、放送中に「昔はクイーンズライチって読んでたみたいですけど、今はクイーンズライクって読むんですね。」って言われて、へえ、そうなんかなあ、と思いました。
確かに、CDを見ると、ここ数作は「ク」になってる。
俺としては、「日本」と書いて「ニホン」と読んでも「ニッポン」と読んでもいいように、次に来る言葉との関係で発音しやすいほうとか、気分次第で適当に使い分けてもいいものかと思ってたんですが、実際のところはどうなんでしょうねえ。
日本語表記が突然変わった例って他にあるかどうか考えてみたんですけど、DREAM THEATERのJOHN MYUNGは、昔「ジョン・ミュング」でしたが、今は「ジョン・マイアング」になってますよね。あと、KREATORは、昔「クリエイター」だったけど、今は「クリーター」ですね。アーティストか日本のレコード会社の意向で変更することもあるんでしょう。
余談ですが、メタル評論家の和田“キャプテン”誠氏はANNIHILATOR(アナイアレーター)の曲紹介をラジオでするときに
「次は、カナダのバンド、アンニヒレーターの曲をどうぞ!!」
と力強く叫んだそうだし、SKID ROWがデビューした時はテレビの「PURE ROCK」でSEBASTIAN BACH
(セバスチャン・バック)を紹介するときに
「美形ボーカルのセバスチャン・バッハ」
と言っていた気がします。
キャプテンってば、おっちょこちょい(笑)
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